ブログの更新が止まっておりましたが、無事に先週、3,306gの元気な男の子をついに出産しました。
結論から言えば、出産は私の想像をはるかに超えていました。
予定日が来れば陣痛が普通に起こって、自然分娩で生まれてくるとばかり思っていたのです。
しかし、私の初めての出産は予定日を10日過ぎ、誘発入院中の緊急帝王切開だったのです。
出産は決して思っているものとは限らないこと、1つ1つのお産が奇跡であることを痛感した体験となりました。
そして、帝王切開という分娩についても妊娠中の時とは捉え方も変わりました。
今日は、私の出産体験についてを記事にしてみました。
これから出産する方にとって参考になることや共感していただけることがあれば幸いですが、出産が不安になってしまう場合もあるので、不安な方は読まないでください。
予定日10日過ぎても来ない陣痛
臨月に入ってからは、予定日が近づくにつれて、いつ陣痛や破水が起こるかと毎日ソワソワして過ごしていました。
入院準備も早めに済ませ、お産の兆候についてや陣痛を耐える呼吸法など予習はバッチリでしたが、予定日を迎えても兆しはありませんでした。
初産の場合は予定日を過ぎる場合が多いことを知っていたので特に焦る気持ちはありませんでした。
しかし、予定日が過ぎて2日、3日経っても気配はなく、予定日から一週間過ぎた妊娠41週目に入った頃は正直焦り始めました。
妊娠42週目を過ぎた分娩は過期産となり、胎盤の働きが低下したり、羊水が減少することによって胎児にとって危険な状態になってしまうからです。
産婦人科の先生からは10日過ぎても陣痛が来なければ誘発入院になることを告げられていたので、「どうして生まれてきてくれないんだろう。」「赤ちゃんは生まれてきたくないのかな。」と不安な毎日。
周りからの「まだ?」という質問によるプレッシャーにも押しつぶされそうになりながらも、
陣痛を促すと言われている食べ物を食べたり、ウォーキングしたり、家の中を掃除して運動したりと、あらゆることを試しましたが、全く生まれてくる気配はありません。
日に日に、恥骨痛や腰痛は増していき、ベッドから起き上がる時や歩く時はかなり骨盤が痛かったので、そろそろだと構えてはいましたが、お腹の張りもほとんどない状態でした。
内診では赤ちゃんが下がってきていて準備はできているとのことでしたが、なぜか最後まで子宮口は頑なに閉じたまま、ついに誘発入院当日を迎えてしまったのです。
誘発入院中に決まった緊急帝王切開
入院当日、朝7:00から陣痛促進剤を1時間に一錠ずつ飲んで陣痛を待つ方法をとりました。
陣痛促進剤の効果も虚しく、子宮口の開きが見られないため、先生からは帝王切開の選択も勧められましたが、経膣分娩にこだわっていた私のために、意図的に破水させて陣痛を促す方法に切り替えられました。
あの噂の内診グリグリ開始です。先生がひたすら、赤ちゃんの頭をつついて刺激を加えました。
しかし、その触診中に予想外のことが。。
それまでは、胎動もあり心拍数も安定していたのに、先生が触診した直後から赤ちゃんの心拍数がどんどん下がり始めたのです。
「あれ?おかしいな。」と先生と助産婦さんが心拍計モニターを見つめながら顔色が変わったのはすぐにわかりました。
先生曰くそれまで元気だった赤ちゃんが、触診されることで心拍が低下することは、ほとんどないそうです。
「赤ちゃんには産道を通る力がない可能性が高く、今すぐに帝王切開しないと無理かもしれない。」と告げられました。
こうして、入院開始からわずか数時間後に心の準備がないまま、緊急帝王切開をすることに。。
すぐに夫に連絡して、病院に向かってもらいました。
助産婦さんたちに医療用着圧ソックスを履かせてもらったり尿の管を挿入してもらったり、手術用の着衣に着替えたり、猛スピードで手術の準備が執り行われましたが、ただただ私は呆然となされるがまま言われるがまま。
とにかく赤ちゃんのことが心配でたまらなくて助産婦さんたちからの手術の説明も入院スケジュールの説明も全く頭に入ってきませんでした。
緊急帝王切開の場合は、お腹を縦に切りざるを得ない場合もあるそうですが、先生に希望を聞かれ、横に切ってもらうことになりました。正直、この時の私は『赤ちゃんが無事なら、縦でも横でも早く切ってくれ!』という思いでしたが。。
ほぼ全裸になった状態で背中に麻酔を注射され、寒さからなのか緊張や恐怖からなのか、震えが止まらない私の手を助産婦さんが握ってくれました。
気づけば手術室の分娩台の上で手術開始。
麻酔によって痛みは全くないけれど、お腹を切られる感覚や子宮を引っ張られる感覚はあって、すごく怖かったけれど、助産婦さんたちが手を握ってくれたり、優しく話しかけてくださったのが心強くて不安を和らげてくれました。
手術開始から15分くらいで、ついに赤ちゃん誕生!
元気な産声を聞いた時は涙が止まりませんでした。
手を握り続けてくれた助産婦さんが、「不安だったよね。よく頑張ったね。」と私の涙を何度も拭ってくれました。
麻酔と興奮によって意識は朦朧としていましたが、元気に泣く赤ちゃんの姿を見た時は、すごく幸せでした。
どうやら、助産婦さんや医師たちの会話によると、胎盤の位置がずれていたようで、お腹を開けてビックリしたそうです。
そばにいた助産婦さん曰く、『帝王切開すべきだよ』と赤ちゃんが教えてくれたのではないかとのことでした。
産後の日々のこと
出産後の入院生活は一言で表すとしたら、前半はとにかく激痛の日々でした。
初日から翌日にかけては子宮収縮による後陣痛と麻酔が切れた傷口の痛みで夜は全く眠れませんでした。
手術から2、3日経つまでは傷口がとにかく痛くて痛くて、まともに歩けず、部屋にあるトイレに行くのがやっとでした。
かと言って、ずっとベッドの上で横になっていると血栓(エコノミー症候群)になったり、腸がくっついて元の位置にもどらなくなるらしく、スパルタな看護婦さんによく歩くように言われましたが、とにかく腹筋を使う全ての動作をする度に激痛に苦しみました。
歩くだけじゃなくて、くしゃみや咳込み、笑うことすら恐ろしかったです。
点滴を吊り下げる棒?のことを『お友達』と呼んで、歩く時はお友達につかまりながら少しずつしか前に進めず、お友達がいなければトイレすら行けない状態でした。笑
そんな動けない私のために周りの人たちがたくさん助けてくれたのがありがたくて、特に母と夫は交代で寝泊まりしてくれて、色々なことを手伝ってくれました。
母体の回復状態から、赤ちゃんとは術後4日目から母子同室となりました。
授乳の仕方もミルクの作り方も全てが初めてでしたが、母や夫のサポートのお陰で不安じゃありませんでした。
何よりも驚いたことは、夫が予想以上に子育てに協力的だったことです。
赤ちゃんを抱っこしてあやしたり、私の代わりにミルクを作る夫の姿を見られるとは・・・。
夫が東京に戻る日の前日の夜はお互いに子育ての難しさを痛感した夜でした。
赤ちゃんが夜中、ずっと泣き止まず、何をどうしたら良いのか分からず、かなりまいりました。
でも、文句言わずにミルクを必死で作っていた夫のあの夜の後ろ姿は一生忘れないと思います。
翌朝になったら、今度は赤ちゃんが6時間連続で寝続けて何をしても起きてくれないため、そのまま寝かせていたら看護婦さんに怒られたり、ミルクを飲ませすぎても怒られるしで、授乳指導が厳しくてだんだんとストレスになっていきました。
そんな入院生活を付き添ってくれた夫が東京に戻る直前は、この大変だった入院生活の間、そばにいてくれたことを思い出して涙が出ました。
この子のパパなんだから当然だけど、やっぱり彼がずっとそばにいてくれて嬉しかったのです。
出産してからの一週間は濃厚な日々の繰り返しでした。
今までに味わったことのない激痛と幸せを一気に体験したような気分と言いましょうか。
子育ては未知の世界でわからないことだらけだけど、手探りでも夫と私なりの方法で楽しく子育てをしていきたいと思います。
帝王切開について
今回、私が帝王切開による出産をして思ったこと・感じたことを書きます。
私は普通分娩を希望していましたし、私の周りには、ほとんど帝王切開で出産した人がいなかったこともあり、帝王切開は出産前の私には『お腹を切るなんて痛そうだなぁ』くらいしか想像がつかず、心の準備すら、もちろんしていませんでした。
帝王切開という分娩には2種類あります。
1つは『予定帝王切開』
2つ目は『緊急帝王切開』
予定帝王切開の方は、さかごや多胎妊娠などの場合に、あらかじめ出産日を決めて行われます。
例えば、前回帝王切開の場合や前置胎盤、母体に持病があるなど様々な理由があります。
緊急帝王切開の方は、経膣分娩中にすぐにでも赤ちゃんを産まなくてはならない場合に行われます。
私の場合は、胎児心拍の低下が原因でしたが、他には遷延分娩・回旋異常・上位胎盤早期剥離・重症の妊娠高血圧症などがあります。
私が緊急帝王切開となって辛かったことは、心の準備ができていなかったことです。
緊急を要していただけに、ただただ病院側の指示に従うことしかできず、帝王切開後にどんな処置が行われて、どんな薬を投与され、どんなことが大変なのか全く知る由もなく質問する余裕すらありませんでした。
例えば、私が予め帝王切開だとわかっていればできることは、帝王切開前にシャワーを浴びて手術に備えることができたでしょう。
なぜなら帝王切開後、シャワーを浴びられるのは術後4日目だからです。
また朝ごはんをしっかり食べて満腹になった直後にいきなり手術だったので術後はかなり気持ち悪くなりました。
予定帝王切開であれば、手術前に朝ごはんは控えたりトイレで便を出し切ったり、色々準備できただろうと思います。
言われて傷ついたことと言えば、ある人から「陣痛の痛みを経験しなくて良かったね。」と言われたことです。
帝王切開は、たしかに麻酔によって手術中は痛みがありません。
しかし、術後の痛みは私にとっては、かなりの激痛でした。
先にも書いたように子宮収縮による痛みと麻酔が切れた後の傷口の痛みは数日続きます。
術後当日なんて歩くことはおろか、立ち上がることすらできません。
私が自ら経験して言えることは、帝王切開だからと言って決して楽ではないということです。
経膣分娩した人と同じような後陣痛やおっぱいマッサージの痛みだってあります。
産後は傷が悪化しないようにケアも怠ることはできません。
普通分娩だろうが無痛分娩だろうが帝王切開だろうが楽なお産は一つもなく、一人一人にその人だけの大変さがあると思います。
たしかに私は経膣分娩を希望していましたが、陣痛の痛みが母性に影響すると言う考え方は好きじゃありません。
私の出産は予想外の出来事となりましたが、今はとても幸福感で満たされています。
会いたくて会いたくて仕方がなかった存在にやっと会えた幸せの大きさは身体に受けたダメージとは計り知れない程、壮大だからです。
痛みが少ないことや出産のスピードが速いことだけが安産なのでしょうか。
私は、産後にママが幸せでいたら安産だと思います。
今後、お産を控えている読者の方々の出産が素晴らしい体験となりますように。
帝王切開について描かれているエッセイ本
最後に、帝王切開についてイメージを知っておきたい方のために、私が妊娠中に読んだエッセイ本を紹介します。
以前、ブログでも紹介した本のうちの2冊です。
妊娠中に読んだ時は、もちろん普通分娩で出産するとばかり思っていたのですが、このエッセイ本を読んで帝王切開に対するイメージを思い描くことはできました。
実際に緊急帝王切開後の入院中に読み返してみたら、共感する部分が多く心が救われました。
はるな檸檬さんは、さかごの出産のため予定帝王切開で出産され、川上未映子さんは、私と同じく緊急帝王切開で出産されたエピソードが書かれています。
どちらのエッセイ本も出産に対する嘘偽りのない素直な文章表現でとても共感できます。
出産は、何が起きるかわからないもの。
まさか自分が・・とは思いましたが、私にとっては妊娠中に読んでいて良かった本でした。